大工の見習い  No.23

大工の見習い No.23

2023.02.01
トヨちゃんの回想録

稲刈りも終わり、仕事に出て行くようになった。

今日からは古民家の草屋根を瓦葺き屋根に替える仕事。

朝現場に行って梁丸太を眺めていると親方が来て

「おい、お前梁の皮をむいて木取りをしながら墨付けをしろ。梁、中置、2重梁、天びん梁 棟引き、お前が考えてやってみろ!!墨付けが出来たら、わしに木取りの説明をして見ろ。間違っていたら大変な事になる。分かっていると思うが、梁は垂れ木にするなよ。よほどの理由がないかぎり。」

「はい、分かりました。」

僕は梁の墨をつけたりするのは初めてなので、嬉しくて楽しくて。

皮むきで松の木の皮をはがし、ヨキやチョウナを使って8角形に仕上げていく。

松やにが出て、一枚しかないズボンに付いてベタベタでも、そんな事には構っておれない。

                                つづく

                      

 トヨちゃんの回想録『大工の見習い』

有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。