有本建設について

好きなんです。人も、木も。

私が生まれ育った実家は、先代である祖父が建てた木造建築でした。

木造建築の世界では、建材となる木は家を建てる土地で育てられた、その土地の気候風土に合ったものを使うべきだ、と昔から言われています。木は生きていますから、材になった後でも不慣れな土地では湿度や気温次第で反ったり割れたりしてしまいます。長く住み継ぐためには、その土地で育まれた木が一番良いのです。

現在も有本建設で採用する「美作檜（みまさかひのき）」は、檜で有名な岡山県の北部で育てられた木です。この材をふんだんに採用した我が家は、檜らしい豊かな香りと、木のぬくもりやあたたかさが感じられるものでした。とは言っても、その家に長く居た子供の頃はその良さは体感できず、大人になって振り返ってみると「ああ、そうだったな」とあらためて思います。人生のステージが変わって、家の見え方が変わったのでしょう。

木は生きているものであり、また、朽ちていくものです。有史以来、人間は木を影にしたり、囲いにしたりと様々な工夫を凝らして、住居のひとつと見做してきました。木に囲まれることは、人間にとって自然なことかもしれませんし、だからこそ鉄筋やコンクリートで建てられた家とはまた違う安らぎがあるのかもしれません。

家とともに、そこに住む家族の形態はきっと変わっていきます。家族ができ、子供が生まれ、そして巣立ちの時。さらにはその先に2世帯で住む未来も考えられます。

そのとき、今までの家族の歴史を損なうことなく、風土に根差した「いい家づくり」を叶えるのも木の住まいです。

私が大切にしたいのは、土地々々の木の家に重なっていく人の物語なのかもしれません。