大工の見習い  No.20

大工の見習い No.20

2022.12.21
トヨちゃんの回想録

やっと床板を削り終わった。親方が初めてほめてくれた。

「この辺りの玉杢良く仕上がっている。今度はついでに違い棚を削れ、筆返しもセットにして。」

筆返し?良く分からない?

その日の晩に兄弟子の家に行ったが、まだ帰ってない。待つこと2時間半、やっと帰ってきた。

兄弟子から少しお酒の匂い。

「トヨちゃんどうしたいんなら?」

「違い棚の…」

「あ~筆返しか~…」

「そうです。」

「あれは難しいのでな~、形がある。わしが持っているから貸してやろう。その形をあてがって造りなさい。アリを切る時には充分気を付けて、あまりきつくしないように。焦らずにな!!」

「有難うございました。」

兄弟子に教えてもらったおかげで、違い棚も無事に仕上げた。

                                つづく

                      

 トヨちゃんの回想録『大工の見習い』

有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。